介護サービス情報公表システムの使い方|老人ホームの看護体制・夜勤・費用を自分で確かめる
介護サービス情報公表システムは、厚生労働省が運営する、介護保険の事業所の情報を調べられるサイトです。介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホームなら、施設の詳細ページで看護職員の人数、夜勤の人数、夜間の看護体制や看取りに関する加算の状況、費用、入居者の要介護度を確かめられます。
この記事の要点
- 厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」では、都道府県を選んで、施設名で詳細ページを開けます。
- 詳細ページは「事業所の概要」「事業所の特色」「事業所の詳細」「運営状況」「その他」の5つに分かれています。
- 看護体制は、看護職員の常勤・非常勤の人数と、介護報酬の加算の状況(夜間看護体制加算など)を合わせて見ます。
- 夜勤の人数は、看護職員と介護職員を合わせた数で書かれているので、夜に看護職員がいるかどうかは加算や重要事項説明書で確かめます。
- 載っているのは事業所が記入日の時点で記入した内容です。記入日と公表日を見て、見学のときに今の体制を確かめます。
「パンフレットには『看護師常駐』とあるけれど、夜も本当にいるのか、どこで確かめればいいのか分からない」
施設を探す家族からよく出てくる疑問です。施設のホームページやパンフレットは、施設が見せたいことを中心に書かれています。人数や体制を同じ形で比べたいときに使えるのが、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」です。
この記事では、大阪府のページを2026年11月6日に実際に操作して確かめた手順と、看護体制・夜勤・費用・入居者の状況を読むときの見どころをまとめました。
堂島 健一のひとこと 特養の施設長をしていた立場から言うと、施設の体制は「昼の人数」より「夜の人数」と「看護職員がどう関わるか」で差が出ます。公表システムはそこを数字で見られる、数少ない公的な資料です。
介護サービス情報公表システムとは
介護サービス情報公表システムは、厚生労働省が運営する、介護保険の事業所の情報を調べられるサイトです。全国の事業所の情報が都道府県ごとに載っていて、誰でも無料で見られます。
大阪府のトップページには、「介護事業所を検索する」「地域包括支援センターを検索する」「住まい(サービス付き高齢者向け住宅)を検索する」「有料老人ホームを検索する」などの入口が並んでいます(2026年11月6日に確認)。
2026年11月6日時点の大阪府の検索ページには、「当システムに掲載中の事業所情報は2026年度または2025年度の情報です」というお知らせが出ていました。情報は毎年度、事業所が記入して更新する仕組みです。
調べられる施設と、調べ方が変わる施設
介護サービス情報公表システムで施設の体制を詳しく調べられるのは、介護保険の事業所として指定を受けている施設です。
施設 | 公表システムでの見え方 |
|---|---|
介護付き有料老人ホーム | 「特定施設入居者生活介護」の事業所として載ります。看護・介護職員の人数、夜勤、加算、費用、入居者の状況まで見られます |
特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、グループホーム | それぞれの介護保険のサービスの事業所として載ります |
住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅 | 建物そのものは介護保険の事業所ではありません。介護は外部の訪問介護などと別に契約するので、併設や同じ法人の訪問介護・訪問看護の事業所を調べることになります |
住宅型有料老人ホームを検討しているときは、ホームの重要事項説明書で「どの事業所が介護や看護に来るのか」を確かめてから、その事業所を公表システムで調べると、実際に関わる職員の体制が分かります。
施設の詳細ページを開く手順
施設の詳細ページへは、次の手順で進みます。2026年11月6日に大阪府のページで確かめた手順です。
- 介護サービス情報公表システムの大阪府のページを開きます。ほかの府県は、全国版のトップから府県を選びます。
- 「介護事業所を検索する」を選びます。
- 「キーワード検索」に施設名を入れて検索します。施設名の途中に空白を入れると、どちらか一方の語を含む事業所まで多く出てくるので、空白を入れずに入力すると探しやすいです。
- 検索結果で施設名と「サービス名称」(介護付き有料老人ホームなら特定施設入居者生活介護)を確かめ、「詳細情報を見る」を開きます。
詳細ページの上には、公表日と記入日が出ます。記入日は、事業所が情報を記入した日です。
詳細ページの5つのタブと、見るところ
施設の詳細ページは、「事業所の概要」「事業所の特色」「事業所の詳細」「運営状況」「その他」の5つのタブに分かれています。施設探しでよく見るのは、「事業所の概要」と「事業所の詳細」です。
タブ | 主な内容 | 施設探しで見るところ |
|---|---|---|
事業所の概要 | 運営方針、事業開始年月日、協力医療機関、入居に関する要件、体験入居の内容、居室の状況、利用料、従業者情報、入居者情報、加算の状況、苦情相談窓口、第三者評価の実施状況 | 協力医療機関、利用料(前払金の償却と返還の計算方法)、看護職員数、夜勤を行う従業者数、入居者の要介護度別の人数 |
事業所の詳細 | 運営法人、職種ごとの人数と勤務形態、夜勤の人数、研修、加算の一覧 | 職種ごとの常勤・非常勤、専従・兼務、常勤換算の人数、夜勤の最少時・平均時の人数 |
「事業所の概要」には、運営状況をレーダーチャートで大阪府の平均と並べた図もあります(2026年11月6日に確認)。
看護体制と夜勤の読み方
看護体制は、看護職員の人数と、介護報酬の加算の状況を合わせて読みます。人数だけ、加算だけでは、夜にどう対応しているかまでは分かりません。
看護職員の人数
「事業所の概要」の従業者情報に、看護職員の常勤・非常勤の人数と、前年度の退職者数が出ます。「事業所の詳細」では、職種ごとに常勤・非常勤、専従・兼務の人数と、常勤換算の人数まで見られます。非常勤が多い場合は、常勤換算の人数で比べると実際の厚みが分かります。
夜勤の人数
「事業所の詳細」には、「夜勤(宿直を除く)を行う看護職員及び介護職員の人数」が、最少時と平均時で書かれています。この数字は看護職員と介護職員を合わせた人数です。夜に看護職員がいるかどうかは、この数字だけでは分かりません。
夜間の看護体制に関する加算
介護付き有料老人ホームの「介護報酬の加算状況」には、夜間看護体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)が並んでいます。厚生労働省の資料では、2つの区分は次のように整理されています。
加算 | 要件の要点(厚生労働省の資料による) |
|---|---|
夜間看護体制加算(Ⅰ) | 常勤の看護師を置いたうえで、夜勤または宿直の看護職員を配置している |
夜間看護体制加算(Ⅱ) | 常勤の看護師を置いたうえで、看護職員との24時間の連絡体制を確保している |
(Ⅰ)を取っている施設は、夜勤か宿直の看護職員を置いています。(Ⅱ)は、夜に看護職員が施設にいなくても、24時間連絡がつく体制で算定できる区分です。どちらも取っていない施設も、施設独自の体制で看護職員を置いている場合があるので、見学のときに夜間の体制を聞いて確かめます。
堂島 健一のひとこと 「24時間看護師が対応」という言葉は、夜勤で施設にいる場合も、電話で連絡がつく場合も含んで使われることがあります。加算の区分で当たりをつけてから、見学で「夜中に吸引が必要になったら、誰がどこから来ますか」と具体的に聞くのが確実です。
医療的ケアと看取りに関わる加算の読み方
医療的ケアや看取りへの対応も、加算の状況から手がかりを得られます。
- 入居継続支援加算:たんの吸引や経管栄養などを必要とする入居者が一定の割合以上いて、介護福祉士を一定数以上置いている施設が取る加算です。2024年度の改定で、対象となる医療的ケアに尿道カテーテル留置、在宅酸素療法、インスリン注射が加わりました。
- 看取り介護加算:施設で看取りの介護を行った場合に、厚生労働省が定める要件を満たしていれば算定する加算です。
- 協力医療機関連携加算:協力医療機関と連携する体制に関する加算です。
加算の欄の表示は、記入日の前月から直近1年間の状況です。加算がないことは「対応できない」ことを意味するとは限りません。対応したい医療的ケアがあるときは、重要事項説明書の「入居者の状況」の欄(たんの吸引や経管栄養が必要な入居者の人数)と合わせて見て、見学で確かめます。たんの吸引と経管栄養を介護職員が行える条件は、「たんの吸引・経管栄養を介護職員が行える条件」にまとめています。
費用と入居者の状況の読み方
費用と入居者の状況は、「事業所の概要」で見られます。
- 利用料:利用料の支払い方式(前払金方式・月払い方式・選択方式)、前払金方式の初期償却率と償却期間、解約時の返還金の計算方法、月払いの家賃・管理費・食費が載っています。
- 入居者情報:入居定員、入居率、平均年齢、男女別の人数、要介護度別の人数、昨年度の退居者数が載っています。
要介護度別の人数を見ると、その施設に重い要介護度の人がどのくらい暮らしているかが分かります。要介護度の重い人が多い施設は、介護の手が必要な人を受け入れてきた実績がある一方、自立に近い人には合わない雰囲気の場合もあります。
公表システムを使うときの注意点
介護サービス情報公表システムの情報は、事業所が記入日の時点で記入した内容です。職員の人数や加算の状況は、そのあとに変わっていることがあります。
- 記入日と公表日を見て、どの時点の情報かを確かめます。
- 人数は記入日の時点の数で、毎日の勤務の人数ではありません。
- 実際に入居を考えるときは、重要事項説明書の最新版と見学で、今の体制を確かめます。
介護施設探しノートでは、施設の看護体制や医療行為の受け入れを、施設の公式サイトと公表システムの両方で確かめ、食い違う項目は載せない決まりで整理しています(比較基準・データの確認方法)。看護職員が24時間いる施設は「看護師が24時間いる」、看取りに対応する施設は「看取りに対応」の一覧で、地域ごとに確かめられるようにしていきます。
よくある質問
介護サービス情報公表システムでは何が分かりますか?
介護サービス情報公表システムでは、介護保険の事業所ごとに、運営法人、従業者の人数と勤務形態、夜勤の人数、介護報酬の加算の状況、利用料、利用者の状況などが分かります。介護付き有料老人ホームなら、看護職員の常勤・非常勤の人数や、夜間の看護体制に関する加算の有無も見られます。
老人ホームに夜も看護師がいるかは、公表システムで分かりますか?
老人ホームに夜も看護師がいるかは、公表システムの夜勤の人数だけでは分かりません。夜勤の人数は看護職員と介護職員を合わせた数で書かれているためです。介護付き有料老人ホームなら、夜間看護体制加算(Ⅰ)を取っているかどうかが手がかりになり、最終的には重要事項説明書の夜勤の職員数と見学で確かめます。
住宅型有料老人ホームは公表システムで調べられますか?
住宅型有料老人ホームの建物そのものは介護保険の事業所ではないので、介護付きのような職員体制の情報は載りません。介護は外部の事業所と別に契約するので、ホームの重要事項説明書で、介護や看護に入る事業所の名前を確かめてから、その事業所を公表システムで調べます。
公表システムの情報はいつの時点のものですか?
公表システムの情報は、各事業所の詳細ページに出ている記入日の時点のものです。2026年11月6日の大阪府のページには、掲載中の情報は2026年度または2025年度の情報だというお知らせが出ていました。今の体制は、見学と最新の重要事項説明書で確かめます。
公表システムの加算がない施設は、医療的ケアに対応していないのですか?
加算がないことは、医療的ケアに対応していないことを意味するとは限りません。加算は要件を満たして届け出た場合に算定するもので、対応はしていても要件の一部を満たしていない、または届け出ていない施設もあります。対応したい医療的ケアがあるときは、施設に直接聞いて確かめます。
まとめ
介護サービス情報公表システムは、介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホームの看護体制・夜勤・費用・入居者の状況を、同じ形で比べられる厚生労働省のサイトです。施設名で詳細ページを開き、「事業所の概要」と「事業所の詳細」を見ます。
夜に看護職員がいるかどうかは、夜勤の人数だけでは分からないので、夜間看護体制加算の区分と重要事項説明書の夜勤の職員数を合わせて読みます。載っているのは記入日の時点の内容なので、最後は見学で今の体制を確かめます。
出典と確認日
- 厚生労働省「介護サービス情報公表システム(大阪府)」:2026年11月6日にトップページ、介護事業所検索、介護付き有料老人ホームの詳細ページの各タブを確認
- 厚生労働省「特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護(社会保障審議会介護給付費分科会 第260回 資料4)」(2026年7月9日):夜間看護体制加算・看取り介護加算の概要。2026年11月6日に確認
- 札幌市「特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護(令和6年度介護報酬改定)」:夜間看護体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)の算定要件と入居継続支援加算の見直し。2026年11月6日に確認
- 長崎県「(介護予防)特定施設入居者生活介護について」:入居継続支援加算の基準。2026年11月6日に確認